あえて夏に雪の魅力を語る

私は雪が好きだ。私が生まれた日の前日は例年にない大雪が降ったというのも影響しているのかもしれない。

 

実家では年数回積もって、そのうちの一回ぐらいは15cmぐらい積もる。小さい頃はよく雪だるまを作って遊んだものだったりする。

今住んでる地域はほとんど雪が降らない事もあり、寂しさを覚える。

 

そんな寂しさを紛らわす為、冬に行った北海道は最高だった。函館なのでそれほど積もる訳ではないが、それでも雪が街を白く覆う姿は良い。

デザイナーが頭をひねって考えたであろう赤いオブジェも、ねずみ色のアスファルトも、雪の前には無力で、暴力的に白く染め上げられる。

そんな馬鹿馬鹿しさが良いのだ。

 

そして雪はなんと言っても美しい。鉛色の空から落ちてきたとは思えない白。街のランプに照らされてオレンジ色にキラめく姿はため息がでる程に美しい。普段は服に落ちて水となるが、函館では溶けずにその美しい結晶を見せる。

 

また、新雪に足を踏み入れる瞬間も良い。少し硬くなった雪に踏み入れるとザクッという小気味の良い音がする。

2歩目、3歩目と歩けばそこはもうリズムの世界。小粋なステップを踏めない自分が憎らしい。

そして、新雪を踏みしめる瞬間というのはなんとも言えない背徳感がある。汚れたものを覆い隠した白を、自分の足でまた汚すのだ。例えるなら純白のドレスを泥で汚すようなものだろうか。

 

しかし、残念な事に今は夏である。雪を見るにはオーストラリアにでも行くしかないがそれは少しばかり情緒がない。だから今はジッと耐え冬を待つのだ。クマとは逆である。

 

そんな雪の魅力を語ったが、一つだけ嫌い点もある。それはすぐに氷になることだ。神社の凍った石畳で滑った時は痛かった……